愛犬が急に鼻をブーブー鳴らして苦しそうにしている!!見た目は心配になってしまう「逆くしゃみ」ですが、実は逆くしゃみは病気とは言えません。その症状による悪影響もなければ、解決策もないとされているからです。ただし、非常に症状の似ている気管の疾患は時に命に関わります。その見分け方を説明します。
犬のくしゃみは病気?見分け方とは

家で遊んでいるときなどに、突然鼻をブーブーと鳴らして苦しそうにすることがあります。数秒で止まることがほとんどですが、ひどい時は毎日起きるし、外で興奮しているとなかなか止まらないこともあります。以前かかりつけで診てもらった時は「逆くしゃみ」との診断で、「薬は無いから様子を見てください。」とのことでした。
でも、とても苦しそうに見えて心配で、今日相談にきました。
逆くしゃみとは
”咽頭部の刺激により誘発された吸気運動”と定義されています。
言い方を変えると、「何かしらの刺激により、息を吸う動作が発作のように繰り返される状態」です。
逆くしゃみの原因
わかっていません。空気中のチリやホコリへの反応、アレルギーなどが疑われています。まれに異物や感染症などの呼吸器疾患が原因となっていることもあります。
逆くしゃみの対処法
のどあたりを軽くマッサージする、胸や背中を撫でる、大きな音を立てて犬の注意をそらす、など。(確実な治療法は存在していません。)
気管虚脱とは
気管虚脱とは、のどから胸にかけての気管の一部または広範囲が潰れて異常に狭くなってしまい、呼吸困難を引き起こす病気のこと。重症化すると低酸素状態となり、失神や命に関わることもあります。
気管虚脱の原因
原因はわかっていません。遺伝性、神経性、栄養性、炎症性などの説が考えられています。
気管虚脱になりやすい犬種
小型犬や短頭種(鼻の短い犬種)は起きやすいとされています。また、肥満の犬にも起きやすいことがわかっています。
気管虚脱の治療法
鎮咳薬、抗炎症薬、気管支拡張薬などを使います。重度の場合は酸素室での治療が必要になったり、人工呼吸が必要となることもあります。薬で良くならない場合は、外科手術も検討されます。
逆くしゃみと気管虚脱の見分け方

見分け方① 症状が出ている間に口が開いているか
→開いていたら気管虚脱、閉じていたら逆くしゃみの可能性が高いです。
見分け方② 音の種類
→「ガーガー」と言う、がちょうのような音なら気管虚脱の可能性がい高いです。また、「ゼーゼー」という音や、咳の末に吐き気をもよおして透明な液などを吐き出すこともあります。逆くしゃみでは、鼻の奥が「ブーブー」「グーグー」といった音に聞こえます。
見分け方③ 舌の色
→気管虚脱がひどい場合は、舌の色が紫がかる「チアノーゼ」を起こすことがあります。これは呼吸困難が重度な状態ですから、一刻も早く病院に連れていかないといけません。逆くしゃみでは低酸素になることはないので、舌の色に大きな変化は見られません。(逆くしゃみでは症状が出ている間、口を閉じているのでわかりづらいですが、症状が治まった時は念のために舌がちゃんとピンク色をしているか確認して下さい。)
終わりに 落ち着いて対処することが愛犬を守る

- 逆くしゃみで死ぬことはない。
- 逆くしゃみが起きたら、犬を落ち着かせることを意識する。
- 逆くしゃみかどうかがわからないときは動画を撮って動物病院で見てもらう。
犬は言葉で伝えられないので、飼い主さんが気にかけてあげる事が大切です。うちの愛犬は大丈夫かな?と思ったら、ぜひご相談ください。
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参考文献
日本獣医内科学アカデミー編,獣医内科学 小動物編 改訂版,文英堂出版,2011年