犬を毎日散歩させるのって、けっこう大変ですよね。雨の日もあるし、仕事が忙しい時もあるし・・・。でも、犬には散歩が必要です。犬のしつけは散歩から始まるといっても過言ではないほど、飼い主さんと歩くという活動は犬にとって重要です。今回は犬がお散歩を必要としている理由や効果についてお話したいと思います。
散歩の効果
「犬を飼ったら毎日散歩!」って、普通の飼い主さんなら分かっている基本的な事だと思います。散歩をしつけとして考えている飼い主さんは多くないかもしれませんが、実はお散歩はしつけの基礎となるんですよ。なぜお散歩がしつけに効果的なのでしょうか?なぜ行かなければいけないのでしょうか?
1.身体の運動のため
散歩が必要な理由として一番わかりやすいのが運動ですね。犬は人間以上に身体を動かすことが必要な動物ですので、1日おうちの中だけで過ごしていては体がナマってしまいます。しつけ以前の問題です。
家の中で走り回って遊んでいても、外を歩くこととは違った身体の使い方をします。野生の犬の群れは1日に何キロも移動します。30分~1時間と黙々と歩き続ける散歩は、犬の身体の造りにとって理想的な運動になります。
2.飼い主さんとの絆を深めるため
飼い主さんのそばを歩き、リーダーについて歩くという「群れの基本アクティビティ」をすることで、飼い主さんと犬の結びつきを強化することが出来ます。
リーダーの指示に従って歩くことで、犬は「誰がリーダーなのか」を再確認することが出来、主従関係の意識も深まります。リーダーの存在を認識して、犬は「今日も安心だ♪」と落ち着いた気持ちになれますし、主従関係の再確認をしてゆくことで、様々な場面でしつけの効果が出てきます。
3.メンタルな刺激のため
散歩の最大の目的は「メンタルな刺激」です。これが分かっていない飼い主さんが多すぎますねぇ・・・。これもしつけ云々以前の問題です。
家の中でおもちゃで遊んだり、走り回ったりしているから、もう散歩は行かなくてOK!と思っている飼い主さんがとても多いと感じますが、家の中で走っているだけでは、散歩に出かけるのと同じレベルでのメンタル刺激を受ける事は出来ません。
犬は外に出て散歩しながら、見て、嗅いで、聞いて、新しい情報を感じつつ、周囲の安全を確認したりしています。自宅の庭からは得ることのできない刺激ですね。
人間は、暇になったら本を読んだりテレビを見たり、友達と電話で話したりして情報収集を行う事ができますが、犬はそれが出来ません。散歩をしなければ外の状況を知る手段がありません。それってつまらない事だと思いませんか?
ドッグランや犬のデイケアなどで、他の犬と触れ合うのもよてもよい刺激になります。犬は犬と触れ合う事で、犬らしさを思い出します。人間のしつけだけでは教えられない部分を犬が補ってくれるのです。
犬が犬らしく生きる事、これに代わる喜びはありません。飼い主さんとの生活の中で失われがちになっている「犬らしさ」を、他の犬と遊ばせることで十分に感じさせてあげるって素敵な事ですよ!
どのような散歩が効果的?
散歩と言っても、ただ歩けばよい訳ではありません。大切なのは、飼い主さんのそばをついて歩かせること。しつけ用語では「リーダーウォーク」なんて言ったりします。リードをたるませてゆるく持ち、引っ張られずに歩けるようにしつけをする事が重要です。
最初のうちは難しいかもしれませんが、ここは練習を重ねて習得してゆくしかありません。これだけでも十分な運動にはなりますが、途中の公園や広場などで、ロングリードをつけて思い切り走らせてあげるともっと良い運動になりますよ!
犬種によっては、飼い主さんと同じスピードで歩くだけでは物足りない事があります。ボーダーコリーやジャックラッセルテリアなどの、走る事が大好きな犬たちは、自転車で伴走して走らせてあげることが出来ると理想ですね。もちろん、その前にきちんと飼い主さんの傍をつくお散歩のしつけが必要ですよ~。
そうは言っても、お散歩のしつけって難しい。そもそも引っ張らせないように歩くことが出来ない、という飼い主さんは、先ず下記リンクを読んで「リードの使い方」を学習してみてください。
行くだけ無駄な散歩
行くだけ無駄な散歩は、リードをギュウギュウひっぱりながら歩く「綱引き散歩」です。街で見かける散歩の半分くらいは飼い主さんが引っ張られながら歩いていますよね。厳しい言い方になってしまいますが、しつけの「し」の字もなってない典型です。このような散歩から犬が得られるのは、少しの運動だけです。
少しの運動以外は、ストレスを溜めるだけです。「あの気になるニオイ嗅げなかった!」「向こうから来た犬に挨拶できなかった!」「あそに落ちてたアレ、何だったんだろう、気になる!!」と、色々消化できない気持ちを抱えて帰ってくるだけです。イライラしますね~。飼い主さんだって、ぶっちゃけそんな散歩楽しくないでしょう?
このようなイライラを抱えながら散歩をしていると、そのうち散歩中に吠え散らかす犬になってしまいます。散歩中の無駄吠えについては、別記事を書いていますので、下記リンクを参照してください。
人間でも、お互いに尊重し合っていない相手同志で旅行に出かけ、どちらかが相手の存在をまるで無視するかのような行動をし、もう一方はそれを止めるのに必死のそんな旅行、楽しいですか?どちらにとっても楽しくないですよね? そんな旅行、出発前よりも帰宅後の方がイライラが溜まっていると思いませんか?
犬が、飼い主さんと一緒に歩くという意識を持って落ち着いて歩きながら、季節の風や新しい匂いを感じることが出来て初めて、「ふう~、楽しかった♪」と思えるお散歩になるのです。お散歩のしつけって大切でしょう?
うちの犬は散歩ギライ?
こう仰る飼い主さんがいらっしゃいます。でもね・・・ そんな犬の多くが飼い主さんが過保護に育てすぎて、社会化が出来ていないために外のものが怖くなってしまった犬なんです。
外が怖いからと言って運動やメンタルな刺激が不要なワケがありません。刺激を受けない事で、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んだ結果、一度興奮するとなかなか切り替えが出来なかったり、甘噛みや無駄吠えがひどかったり、破壊行動や食糞、手足を病的に舐める行為、しつけようとしても聞く耳を持たないなど、様々な面でひずみが生じているはずです。
こういう犬って、飼い主さんにとってはとても可愛いんです。分かります。自分がいないと生きていけない存在なんて、これ以上愛おしいものはないでしょう。飼い主さんは、もしかしたらしつけの必要性も感じていないかもしれません。でも、大切に思うなら、少しずつでも外界に慣らし、怖いものを減らして行ってあげましょう。怖いものを少なくして行ってあげましょう。