犬のトイレを外でさせるべきか、室内でさせるべきかについては、色々な議論があると思います。個人的な世話のしやすさの問題を始め、ご近所へのモラルの問題、衛生面での良し悪しなど、多方面でのメリット・デメリットをよく検討して考えなければいけませんね。トイレのしつけを始める前の参考になるよう、外でさせる事へのメリット・デメリットについてお話します。
ウンチ・オシッコを外でさせるメリット・デメリット
汚れ・ニオイなどの衛生面
メリット
トイレを外でさせる場合には、室内が排泄物で汚れません。トイレ目的でお外に出た後、足やお腹周りを拭いてあげれば汚れやニオイも取れますので管理がラクですし、なにより衛生的です。トイレを室内に置いているケースでは、例えトイレのしつけが上手にできていても、ちょっとはみ出てしまったり、トイレをした後におしっこを踏んでしまい、その足で部屋中を歩き回ってしまったりすることはあるでしょう。 トイレトレー自体も汚れますので、清潔な環境を保つためには頻繁なお掃除や消毒は必要になって来ます。
ニオイに関しても同じです。室内にトイレを置いていると、少なからずニオイの問題は発生します。犬の大きさやおしっこの量、シーツ替えの頻度、トイレの置き場所などにより状況の良し悪しはありますが、ある程度のガマンは必要になって来ます。 その点、外での排泄ができる犬ははポイントが高いですね。
デメリット
室内にトイレがない(室内でトイレをするしつけをしていない)と、お腹の調子が悪いときなど、どうしても我慢ができない時には室内でお粗相をしてしまう事もないとは限りません。外でトイレをするようにしつけられた犬にとっては、どんな切羽詰まった事情があっても、室内でトイレをすることは屈辱です。 「どうしよう、どうしよう」と限界までガマンした末に、生活スペースを排泄物で汚してしまったら、それこそ大きなストレスを感じてしまうでしょう。
室内を衛生的に保つメリットがある反面、外の環境を少なからず汚してしまうことを認識しなければなりません。よそのお宅の塀にマーキングなんてもっての外ですし、公共の場であっても、犬が草地などをトイレとして利用することに不快感を感じる人も少なくないと思います。ゆるいうんちやおしっこなど、完璧に取り除くのが難しいこともありますし、後始末をきちんとすればいいだけではない問題だと考える人もいるでしょう。
人さまのご迷惑にならないように、と、トイレスペースをお庭の一角に決めるご家庭もあるかと思います。この方法だと、室内も清潔に保てます。しかし、このような場合、ニオイが大きな問題になります。毎日特定の場所でトイレ(おしっこ)をさせていると、土壌にニオイが染みつきます。これ、けっこう強烈です。暑い日や湿気の高い日などは特に臭います。お庭でトイレをさせる場合には、トイレ(おしっこ)をするたびに水をかけておき、且つ頻繁にハイターなどで消毒をしておくようにしないと、かなり不快だと思います。また、犬のおしっこは酸性なので、トイレ場所に植物は育ちません。悪しからず・・・。
トイレスペース
メリット
日本の住宅というのは狭いものです。犬のトイレを設置する場所を確保するのも人間のスペースを犠牲にしなければならないでしょう。犬のサイズが大きくなれば、必然的にトイレもサイズも大きくなりますし、オス犬のマーキング対策をするとなると壁まで覆う必要が出てきます。更に、マーキングのある/なしに関わらず、オス犬はメス犬に比べて、おしっこを出す位置が高いため、飛沫が飛ぶ傾向にあります。この飛沫エリア保護したいとなると、かなりの広さをトイレにする必要が出てくるでしょう。お外でトイレをさせる場合には、この悩みが無くなります。限られたスペースを有効に使えるという点では大きなメリットですね。
デメリット
これに関しては、大きなデメリットはないかと思います。
その他
メリット
トイレシーツなどのコストがかからない点は大きなメリットですね。ワイドサイズのトイレシーツが安くて1枚20円程度ですので、1日5回替えるとして100円/日。1か月で3000円の節約になります。
トイレをある程度ガマンする習慣がつき、1日に2回程度の散歩の時のトイレで1日の排泄を済ませられるようになります。室内にトイレがあるといつでもトイレに行けるためガマンの習慣がつきません。
初めての場所でも「外・室内」の区別はつきますので、外出先の屋内での粗相のリスクが劇的に少なくなります。
綺麗好きな犬は、自分が暮らすスペースを排泄物で汚すことに大きなストレスを感じます。柴犬をはじめとする日本犬系の犬は特にその傾向が顕著で、室内にトイレを設置しても自然と外でしかしなくなるケースが多くなりますので、外でトイレができるように飼い主さんが配慮してあげることが犬にとってのメリットですね。
デメリット
なんと言っても最大のデメリットは、どんな状況でも外に連れて行かなければならないという点ですね。嵐のようなお天気でも、炎天下の夏も、氷点下の冬も、飼い主さんが熱を出しても、必ずお外に連れて行かなければなりません。犬が生きている限り、毎日必ず続く日課となります。それもまた楽し、と割り切るしかないですね。
老犬になってからの世話が大変なのもデメリットですね。犬も年老いて思うように体が動かなくなってくると、やはり毎回トイレに出かけるのが億劫になってきます。また、介護が必要になった時にも、毎回抱っこでお外に連れて行くのは重労働です。まして大型犬だと、本当に大変です。
外でさせるのに向いている犬
犬種や、飼い主さんのライフスタイルにもよりますが、外でのトイレのほうが管理がしやすいだろうという犬は今の2つのケースです。
大型犬
大型犬は、身体の大きさの分だけおしっこやうんちの量も多いです。必然的に、ニオイやトイレスペースの確保の問題も大きくなりますので、外でトイレをさせるようにしつけた方がメリットは多いでしょう。
綺麗好きな犬
犬は元々はきれい好きな動物です。前述しましたが、中でも特に日本犬犬種は綺麗な環境を好みますので、犬にとってのストレスを考えたら、生活スペース内にはトイレは置かず、外での排泄にした方が良いでしょう。
外でさせると決めたら
メリット・デメリットを十分考慮した上で、外でトイレをさせると決めたら、以下の事は必ず守りましょう。
号令でトイレが出来るように
外ならばいつでもどこでもトイレOKという訳ではありません。なるべくご迷惑にならない場所でトイレの号令をかけ、それ以外はさせないしつけをしておきましょう。詳しくは子犬のトイレのしつけは最初の2週間で勝敗が決まるをご参照下さい。
マーキングは絶対にさせない
「犬は皆マーキングするものだ」と誤解している飼い主さんが大変多いですが、屋外でのマーキングはマナー違反です。マーキングはしないよう、しっかりとしつける事が重要です。
後始末の徹底
排泄物の後始末を徹底しましょう。あらゆるシチュエーションを想定して、以下の持ち物は必ず携帯するようにすること!
犬と出かける際の持ち物
うんち袋 — 何度もするかもしれません。十分な枚数があることを確認!
水道水 — 最低でも、出したおしっこの倍量は掛けないと、ニオイ対策になりません。
小さなブラシ— ゆるいうんちの時、アスファルトや地面にこびり付いたウンチを洗うのに役立ちます。
トイレットペーパー — 液体がしみこまないような地面(大理石など)に排泄をしてしまったときに役立ちます。