犬との良い関係を築くためには、主従関係をしっかりと築いてゆくことが必要不可欠です。「主従関係」というと堅苦しくて、軍隊みたいで良い印象がないかもしれませんが、主従関係を築くという事は、お互いが尊重しあい、犬と人が信頼関係を築く事に他なりません。すべての問題行動を予防する基礎となりますので、ぜひ何度も読んでみてくださいね。

主従関係を誤解していませんか?

dog-454145_640先日、本屋さんで「主従関係なんてぶっとばせ!」とデカデカと書かれた犬の雑誌を見て、ひざの力が抜けそうになりました。長く訓練士をしていますが、主従関係って、人と犬との快適な暮らしのすべての基礎となるものだという認識は揺らぎません。

おそるおそるその雑誌の中身を覗いてみたのですが、「厳しく強制することで飼い主と犬の絆を深めることはできない」という様な内容で、結局はしっかりと犬からの信頼を得る事の大切さを力説していて、「な~んだぁ、それって主従関係を築くって事じゃないか!」と一人でツッコミを入れつつ安心しました(笑)。

多くの人の目に留まる雑誌にこのような表題が書かれること自体、多くの飼い主さんが「主従関係」という堅苦しい言葉に困惑している証拠だと思います。言葉が独り歩きし、内容をよく知らずに「可哀そうなことはしたくない」という意識から避けてしまうという、マズイ状況だなぁ~と感じました。 訓練士として、飼い主さんと犬の双方の幸せな生活をサポートしたいと願っていますので、今日は主従関係を正しく理解してもらうための内容をお送りします。

主従関係を正しく理解しよう

「リーダーなんかいない方が気が楽なんじゃないの?」
「厳しくしたら嫌われちゃう」
「犬には何も強要したくない。可愛ければそれでいい」

こんな理由から、リーダーの役目を拒否してしまう飼い主さんが多くいます。気持ちはよ~く分かります。誰も可愛い犬につらい思いをさせたくありません。でも、これって犬にとっては、一大事です。リーダーがいないという事は、自分で生きていかなければならないという事なんです。 分かりやすく言うと、家庭に親がいないような状態です。

犬は、不安な時、迷ったときにハッキリと自信をもって「~してなさいね」と言ってくれる人が欲しいんです。ルールを決めて適切に指示を出してくれるリーダーを求めています。

犬のリーダーになるという事は、犬の感情を抑え込んで支配することではありません。リーダーになるという事は、間違ったことをした犬を叱り飛ばすのではなく、威圧的に禁止事項を守らせるわけでもなく、犬にとって分かりやすい方法で人間社会のルールを教え、犬から信頼される存在になるという事です。

犬は飼い主を判断を行動の指針とし、飼い主はきちんという事を聞ける犬を信頼する=人と犬との信頼関係を築くという事なんです。

犬というのは、群れをつくって生活をする、社会性を重んじる動物です。群れのメンバーと調和して生活する動物だという事です。ひとりで気ままに暮らす猫とはここが決定的に違います。社会のルールを守る事で社会に受け入れられ、安心して生きてゆけるのです。 人間だって社会性のある動物ですから、想像しやすいですよね。

犬が持つ服従本能と権勢本能

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犬は群れで生活する動物であり、群れの中で自分の居場所を確保するために服従本能と、権勢本能という、2つの本能を持っています。主従関係で言う、「主」が権勢本能を発揮している犬のポジション。「従」が服従本能を発揮している犬のポジションです。

  • 権勢本能とは、自分が群れの中で一番強いと感じた犬がリーダーになろうとする本能
  • 服従本能とは、リーダーが守る犬社会のルールに従い、「守られる立場」で安心して暮らすポジションを獲得しようとする本能

どんな犬であれ、犬であれば皆両方の本能を持っていますが、大部分の犬が服従本能のほうを優先させたいと願っています。誰かリーダーになってくれた方が有難いのです。犬が人間社会で暮らしてゆく時にも、この服従本能を上手に利用し、飼い主がリーダーとしてルール決めさえすれば、無駄吠えや噛み癖、散歩の引っ張りなどの問題行動は起こりません。

主従関係の「主」が飼い主さんとなり、「従」が犬となる構図です。逆に、飼い主さんがリーダーの役目を果たさないと犬は権勢本能を発揮せざるを得ず、家庭内が「犬社会で人が暮らす」という構図になってしまい、何もかもが上手くいかなくなるのです。主従関係の逆転です。

リーダーの役割と責任

犬社会では、リーダー犬が権勢本能を発揮して全ての権限を持ちます。一方で、リーダー意外の群れの仲間たちは、服従本能を発揮してリーダーのルールを忠実に守ります。リーダーは、群れの安全を常に確認し、群れをまとめる代わりに、自分が好きな場所を占領し、好きな食べ物は譲らず、いつでも群れの先頭を歩きます。 群れのルールを守らない犬には、必ずボス犬からのけん制(お叱り)があります。これが犬の群れでの主従関係のあり方です。

そんな自分勝手なリーダーいない方が良いじゃん!と思うかもしれませんが、群れの仲間たちは、頼りがいのあるーダーのルールを忠実に守って生活をすることで、身の安全が保障されのです。 これはとても大きな見返りです。人間の目から見ると犬社会の主従関係は窮屈に見えるかもしれませんが、犬はそういった縦社会の中に生きてこそ、安心できる本能を持っているのです。

「リーダー不在」ってどういうことか?視点を変えて考えてみよう

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本能だの、リーダーだの、縦社会だのという大層な言葉を使うから取っつきにくいのかもしれません。主従関係を人間の家庭に置き換えて考えてみてください。家庭では、親のいう事をきちんと守って生活をしているからこそ、子供は安心して身を任せて暮らすことができていますよね?犬も同じなんです。

「ウチでは人間が下でいい。犬が好きなように生活すればいい」

なんてやさしさのつもりで言っているかもしれませんが、それって、子供に向かって「あなたの管理するの面倒くさいから、とりあえず自分で身を守って自分で生きてってねと言い放っている事と同じですよ。 それって、めちゃくちゃ無責任じゃないですか? 子供だって相当不安ですよね?

親の無責任によって、「自分で身を守ってね」と突き放されてしまった子供は、一体どうするでしょうか。きっと一生懸命頑張りますよね。弟や妹がいれば、その子たちの安全も自分の責任だと考えて、家族のリーダーになって必死に守ろうとしますよね。健気ですねぇ。でも、残念ながらきっと失敗します。元々経験も力もない子供が、様々な出来事から家族全員を守ろうとしたら、どうなるでしょうか? 「家族に近寄るな!」「あっち行け!」と大声上げて、バットを振り回して必死で頑張ると思いませんか?

この状況を想像してもらいつつ、質問します。

「あなたの犬、玄関に来客が来たとき、大きな声でワンワン吠えて攻撃的な態度を見せませんか?」

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私が何を言いたいか、もうお分かりでしょう。 犬は、本当は守ってもらいたいんです。でも、守ってくれる人がいないから、不安を抱えながら仕方なく頑張っているんです

飼い主が信頼できるリーダーになるということは、犬が安心して身を任せ、平和な暮らしができる環境を与えるいうことです。飼い主も、「うちの犬はきちんという事を聞くからどこに連れて行っても安心」とお互いに信頼しあって生活するという事です。犬にとっても人にとっても、とても幸せなことです。 主従関係って大事だな、と思えてきましたか?

うちは犬に信頼されているから主従関係問題なし!は本当?

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さて、主従関係の話はまだで終わりません。リーダーになれていない典型的なパターンをもう一つ紹介します。

「うちは主従関係バッチリ。だって、うちの犬は臆病でいつでもブルブルしながら私にひっついてるもの。私がいないと生きていけないの

このタイプに該当する飼い主さん、最近多いです。と・て・も多いです。でも、これ勘違いです。残念ですが、主従関係、できていません。今回もこの状況を人間の家庭に置き換えて考えてみましょう。

「あなたを管理するの面倒くさいから、とりあえず自分で身を守って自分で生きてってね」と親から見放されてしまった子供が、あまりに弱くて、見知らぬものと闘うだけの勇気がない場合に、部屋の隅で仲間同士で肩を寄せ合って震えている構図です。もちろん、一緒に震えている仲間の中に、親も含まれている状態です。子供が怖がっているのに、「こわいね~、どうしようね~。何かあったらお母さんも守ってね~」と一緒になって震える親が、飼い主さんです。情けないですね~。 ショーック!!ですか?

「いやいや、怖がっているから安心させようと思って抱いてるんじゃないの!」と反論があると思いますが、残念ながら犬の心理はそうは働かないんです。犬にとって、自分が怖い時に「大丈夫、大丈夫」と優しく抱かれて撫でられることは、「この人も怖いんだ。どう対処すればいいか分からないんだ」と捉えてしまうんです。頼りないんです。

例えば、家が火事になった時に、「こっちの方が火の手の周りが遅いからこっちにに来なさい!この窓から外に出なさい!」と自信をもって指示してくれる相手と、「えー、こわいー、どうするー?」と一緒になってオタオタする人と、どっちに付いてゆきますか?自分が怖いときにこそ、自信をもって「あなたはこうしてなさい」とハッキリ、キッパリ指示してくれるリーダーが必要なんですよ。それが主従関係というものなんです。

犬が怖がっているときに抱っこして抱え込んでいては、犬はいつまでたっても恐怖心を克服できません。 一生恐怖の中で生きるのって、可哀想だと思いませんか? 飼い主さんは「どんな事があっても私を信じていれば必ず守るから」と堂々としていてあげてください。

人間は、人間特有の「愛情」を与えているつもりで、リーダーとしての重責を犬に押し付けてしまいがちです。そして、犬に「信頼」も「尊敬」されなくなるのです。主従関係の「主」の役目は内向きに保護することではなく、率いる事だと理解して下さい。

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